アキ
この記事では、自己破産を決意するまでの葛藤や、実際に手続きを進め免責を受けるまでの経緯をまとめました。
私の場合、借金額は約1,000万円、ギャンブルやクレジットカード枠の現金化にも手を付けているという、なかなかの悪条件。
『自己破産をしたとして、免責されるのか?』ということすらわからない状態からのスタートでした。
今現在、自己破産をするか悩んでいる最中の方や、不安な気持ちに襲われているという方にこの読んでもらい、少しでも気持ちを楽にしてもらえると嬉しいです。
借金が1,000万円を超えた理由
私の借金が増えた原因は以下3点です。
- 経営していた事業の売上減少
- ギャンブル
- クレジットカード枠の現金化
借金の経緯はおおまかに以下のような流れになります。
1,コロナ渦により経営していた事業の売上が減少し、徐々に支払いが厳しくなる
↓
2,手持ちのお金では支払いができないためギャンブルで増やそうとする
↓
3,ギャンブルで負け、支払いのためにクレジットカードでiPhoneを購入。買取屋で売って現金化
↓
4,クレジットカードの支払いはリボ払いに変更
※2~4を毎月繰り返す
アキ
債務整理を検討する
返済の滞納はしていなかったものの、毎月クレジットカード枠の現金化で支払いをしのいでいる状況。
こんな状況になるまでは『事業の売上が伸びてくれれば払える』と考えていました。
しかし、すでに限界を迎えているのは誰の目から見ても明らか。
支払いの破綻が見え始めてきたタイミングではじめて債務整理を検討しはじめました。
自己破産することを決める
債務整理について調べてみたところ、債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」があり、それぞれ減額できる借金の額や細かな条件が異なるため自分の状況にあった手段を選ぶ必要があることを知りました。
私の場合、借金の金額が大きかったため、利息や遅延金などをカットしてもらい元金を3~5年で分割返済する「任意整理」を選んでも状況は大きく変わりません。
必然的に「個人再生」と「自己破産」のどちらかで手続きすることに。
項目 | 個人再生 | 自己破産(同時廃止/管財事件) |
---|---|---|
特徴 | 借金を大幅に減額※ 原則3年(最長5年)で分割返済 |
借金が免除される(原則全額免除) |
官報 | 掲載される | 掲載される |
予算目安 | 約30〜50万円 | 約20~50万円+ (管財事件は予納金20万円~) |
手続き期間 | 6~12ヶ月 返済は認可後3~5年 |
約5~7ヶ月(同時廃止) 約8カ月~1年(管財事件) |
財産の処分 | 住宅等の財産を残せる | 価値ある財産は換価・処分される |
※500万円超1500万円以下の場合。最低弁済額は借金の5分の1程度
「個人再生」は減額した元本を分割で支払っていく必要がありますが、財産(持ち家、土地等)を処分されずに残すことができます。
私の場合、残したい財産が何もなかったため、借金が完全に免除される「自己破産」を選択することに決めました。
自己破産の「同時廃止」と「管財事件」の違い
自己破産の手続には「同時廃止」と「管財事件」の2種類があります。
同時廃止は、処分する財産がほとんどなく、特別な調査も不要なケース。破産管財人が選任されずに簡易・低コストで終わります。
管財事件は財産や調査すべき事項がある場合に破産管財人が選ばれ、費用・期間ともに多くかかり、債権者集会も開かれるなど手続が複雑になります。
管財事件になるのは、「現金が33万円以上ある」「不動産・車・保険返戻金など20万円以上の財産がある」「借金理由がギャンブルや浪費に該当する」「個人事業主や法人の代表者である」といったケースです。自身にこれらが当てはまると管財事件の可能性が高くなりますが、最終的には裁判所の判断となります。
私の場合、個人事業主で借金理由にギャンブルや現金化も含んでいたため、管財事件で進めることになりました。
自己破産を決めた後の心境
アキ
自己破産することを決めたものの現実感はゼロ、しばらくの間は「本当にしてしまっていいのか?」という葛藤が続きました。
月々の利息が15万円以上増えている状況で、どう考えても自己破産くらいしか打つ手はないのですが、人として超えてはいけない一線を越えようとているような大きな抵抗感を覚えていました。
当時の私を含め、世間の自己破産に対するイメージは最悪すぎるんですよね。
「自己破産=人生終了」という漠然としたイメージがあったり
家に踏み込まれて家財道具一式を持っていかれ、家族が路頭に迷う。といった昔のドラマにありそうなイメージが令和の時代になっても根強く残っています。
実際のところ、家に踏み込まれることはないですし、人生終了どころか人生を再スタートするための救済制度なので怖い目にあったりすることも当然ありません。
余談ですが、当時の自分は、自己破産を肯定したい気持ちからなのか、「自己破産した有名人」とネットで検索して調べたりしていました。
ドナルド・トランプは過去に4回破産しているそうです。イメージ通り破天荒すぎる(笑)
個人再生ではなく自己破産を選んだ理由
自己破産と個人再生のどちらで手続きを始めるかは、自分の人生をやりなおす上でメリットが大きい方を選択しました。
■ 個人再生の場合
私の場合、借金が1,000万円あったため、個人再生後に残る債務は200万円程度(1,000万円の5分の1)に。残りの借金を3~5年かけて分割返済することになります。
仮に3年間分割で返済する場合、1カ月あたり55,555円を3年間支払い続ける※
※(2,000,000円÷36か月=55,555円)
個人再生の手続終了から3年後に借金がゼロに。ここからやっと貯金ができる生活になります。
■ 自己破産の場合
自己破産手続が終了し免責が確定した時点で、借金はゼロに。
個人再生をした場合支払うはずだった1カ月55,555円を自分の貯金に回した場合、3年後には最低200万円の貯金ができていることになります。
私はすでに30代後半と決して若くない年齢ということもあり、今後の人生を最優先に考えて、3年後の自分がより良い状況でいられる手段(自己破産)を選ぶことにしました。
■ 3年後の状況
個人再生:返済が完了し借金が0円、資金を返済に回していたため貯金なし。
自己破産:借金が0円、貯金200万円+余剰分の貯金。
代理人弁護士を探す
自己破産の手続きを開始するにあたり、代理人になってくれる弁護士を探す必要があります。
私の場合、5社に問い合わせをして3人の弁護士と無料面談しました。
弁護士を選ぶうえで意識したのは以下3点です。
- 相性(接する上でストレスがないか)
- 費用面(高すぎないか、分割払いができるか)
- 債務整理の経験・専門性
自己破産が終わった今振り返ってみても、この基準で選んでよかった。と思っています。
手続完了までの長い期間やりとりしていくことになるため、自分との相性が良さそうな人を選んだ方がいいです。
また、すべての弁護士が債務整理に詳しいわけではありません。実際に面談していただいた弁護士の方は明らかに知識量や経験が少なそうで質問に関する答えがコロコロ変わる方もいました。
最短で自己破産手続きを終わらせたかった私は、債務整理の経験が豊富で無駄なく効率的に手続きを進めてくれそうな別の弁護士と契約しました。
1社だけで決めてしまうと、どんな人が自分の代理人弁護士になるかを運にまかせることになります。
自己破産(管財事件)の破産管財人は自分で選ぶことができませんが、一番の味方になってくれる代理人弁護士は自分の意志で自由に選ぶことができますので、複数社面談してみてしっかり選ぶことをおすすめします。
私の場合、3人の弁護士と面談しましたが、
1人目:自信なさげ、言うことがコロコロ変わる
2人目:若干高圧的
と、正直「この人に担当してもらいたくない。」と思いました。
幸いなことに3人目の弁護士さんは、債務整理に詳しく、接しやすい人柄、費用面も3社の中で一番安く分割も可能だったため契約を決めました。
自己破産手続き開始から免責まで
自己破産手続きを開始する以前は「ものすごく手間がかかりそう」というイメージを持っていましたが、申請の書類等は代理人弁護士が作成してくれるため、私のやること自体は決して多くなかったです。
- 家計表記入
- 代理人面談参加
- 管財人面談参加
- 債権者集会参加
- 銀行取引履歴請求
- クレジットカード利用履歴請求
- ギャンブル・現金化の入出金まとめ
ただし、提出物を迅速に集めても手続きの進行ペースはある程度決まっているため、時間はかかります。
私の場合は自己破産(管財事件)で免責確定まで8カ月ほどかかりました。
また、都道府県(管轄の裁判所)や専任される管財人(管財事件の場合)によっても、調査の細かさが異なります。
破産後の生活はどう変わった?
自己破産が終わり生活が変わった点をいくつか挙げていきます。
自己破産したこと誰かにバレた?
おそらくですが、全くバレていません。
自分から言わない限りバレることはまずないと思います。
自己破産者が官報に名前を掲載されているのは確かですが、普段官報など見ない人からすると自分の名前を探すことすら難しいレベルで見にくいですし、破産者マップという破産者の住所と氏名を掲載する迷惑なサービスもありましたが現在は閉鎖されています。
唯一、管財人から両親に連絡がいかないかだけ不安でしたが、それもなく無事終わることができました。
家族にカミングアウトする方もいるようですが、自分の場合は自己破産が両親に与える影響もなかったため、カミングアウトして不安にさせてしまうくらいならこのまま言わないでいる決断をしました。
貯金ができるようになった
代理人弁護士と契約してすぐの段階で、弁護士が各債権者に「受任通知」を送ることで、毎月支払っていた返済がストップします。
収入の大半が借金の返済に消えていた状況から、生活費だけを確保すればいい生活に変化するため、弁護士費用を分割で支払いながらも、少しずつ貯金ができるようになりました。
もちろん私もですが、自己破産をしなければいけない状況まで追い込まれた人たちは、毎月の収入から生活費を確保し残った分は貯金する。という当たり前の生活ができていないことが多いため、決して短くない自己破産手続き中の期間は「貯金を習慣習慣にするいい機会になる」とポジティブに捉えて生活していました。
副業のモチベーションが上がった
仕事のない日にアルバイトをしたり、スキマ時間に自転車でフードデリバリーの配達をやったりと、月5~10万円くらいであれば副業で稼ぐことができるかと思います。
しかし、借金が1,000万円あった頃は、月の支払いが50万円を超えることもあり、「月5万円程度の副業をやったところで状況は変わらない。」という気持ちがありました。
借金が大きすぎる状況だとコツコツ貯めて返済しようという気持ちすらなくなり、「一発当てて返済しよう。」という思考になってしまいます。
そして、一発を狙いギャンブルをした結果、さらに借金額を増やすだけというお決まりのパターンに終結します。
このような負のループから抜け出し、少ない額でもコツコツ積み上げていこう。と思えるようになったのは良い変化だと思います。
自己破産を振り返って
私の場合、自己破産を意識し始めてから、弁護士に相談しにくまでの間に「このまま自己破産の手続きに進んで本当に後悔しないのか?」と悩みました。
自己破産が終わった現在では「本当に自己破産をしてよかった。崩壊しかけていた人生が救われた。」と思っています。
良い弁護士さんに依頼できたこともあるかと思いますが、正直なところ、苦労という苦労もほとんどないまま免責まで進むことができました。
今後同じことにならないよう気を付けながら生きていきたいと思っています。
誰でもかれでも自己破産するべきとは思いませんが、私のように多額の借金があり生活が回らなくなってしまっている方は、少しでも早く判断した方がいいです。
過去の私のように、借金を借金で返済して半年、1年と決断を先に延ばすことはできるかもしれませんが、そう遠くない未来に手の打ちようがなくなり債務整理を決断しなければいけない時が来るのは明らかです。
先延ばしした後に結局、自己破産(債務整理でもですが)をするとして、1年遅くなれば信用情報が回復するのも1年遅くなりますし、手続き完了後の自分も1つ歳をとっています。
自己破産が終わり借金が免責されるのがゴールではなく、そこからが新たな人生のスタートです。
なるべく早く、すこしでも若いうちに人生のリスタートを切っておいて損はないと思います。
過去の私のように、どうしてもふんぎりがつなかったり、そもそも自己破産すべきなのか判断がつかないという方は弁護士に相談してみてください。
専門家から客観的な意見がもらえるので、自分ひとりで悩むより参考になる意見がもらえるはずです。
アキ
債務整理関係の初回相談はほとんどの場合無料でしてもらえます。その場で契約を迫られたりすることは一度もありませんでしたので気軽に話を聞いてみてください。